- 不眠症(睡眠障害)
不眠症は、睡眠環境を変える事で改善する事が可能です。枕、マットレスなど睡眠に適している睡眠環境をご紹介します。

睡眠環境で不眠症改善
睡眠には、睡眠環境も大切になります。個人差はありますが、睡眠に適しているとされている寝具、パジャマ(寝巻き)、光、音、温度・湿度、香りなどを解説します。最適な環境で眠る事で、寝つきもよくなり、睡眠の質のアップも期待できます。
快適な睡眠を得られる寝具
快適な睡眠を得るためには、適した寝具を選ぶ事が大切です。硬い床の上で熟睡できる方は少ないでしょう。適切な寝具を利用して眠る事が大切です。寝具と言っても、敷布団、マットレス、掛け布団、枕などがあります。それぞれ解説します。
敷き布団・マットレス
敷き布団には様々な硬さ、厚さのものがあります。また、マットレスを併用しているかどうかでも異なります。起きた時に体が痛い、などの症状がある場合は、敷き布団があっていない可能性があります。
フカフカの布団やベッドの方が高級感があるイメージがなんとなくあるため、眠りやすそうに思えるかもしれませんが、柔らかすぎると体が沈みこんでしまい、寝苦しくなってしまいます。さらに、沈み込んだ部分に圧力がかかってしまい、肩こり、腰痛の原因になってしまいます。
もちろん、逆に硬すぎても快眠できなくなってしまいます。寝返りがしにくくなり、毛細血管が圧迫されてしまいます。さらに、使い始めてから年月が経ち過ぎてクッション性が全くなくなってしまい、いわゆる「せんべい布団」に近いものになってしまっている場合は、できれば新しいものに買い換えた方がいいでしょう。
人間の体重を一晩支えてくれるのもですから、特に重心のかかる頭、肩、腰はしっかりと支えてくれる適度な硬さがあるものがいいでしょう。
また、寝返りをうてるかも重要です。寝返りを打たなければ血液やリンパが滞ってしまいます。個人差はありますが、一晩で20~30回は寝返りを打つと言われています。寝返りを打つには、敷き布団やマットレスの適度な弾力性とクッション性が大切です。眠っているときにでも少ないエネルギーで寝返りを打てるものがオススメです。
掛け布団
掛け布団の最も大きな役割は、睡眠中の体温をできるだけ一定に保つ事です。睡眠中は代謝が少ないため、深部体温が低下します。夏でも冬でも、一定の体温を保てるような布団がいいでしょう。眠っている間に布団をはいでしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、寒くて目が覚めてしまったり風邪をひく危険があります。できるだけ寝返りを打ってもズレにくい掛け布団を選ぶようにしましょう。
また、寝返りをうつ事を考えると、掛け布団は羊毛や羽毛などの軽いものがオススメです。また、汗を吸収しやすく、保温性があるものがいいでしょう。夏場は何もかけないという方もいらっしゃるかもしれません。ですが、眠っている間に体温が下がってしまう事がありますので、タオルケットなど薄手のもので構いませんのでできるだけ何かかけるようにしましょう。
枕

寝具の中で、最も悩む事が多いのは枕ではないでしょうか。なかなか合う枕が見つからず、何度も買い替えている方も少なくないかもしれません。最近はその人に合ったものを作ってくれるオーダーメイド枕なども増えていますが、お店では合っていたのに、実際にご自宅で使ってみたらイマイチだった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。お店とご自宅とでは布団やマットレスなどが異なったり様々な要因によって変わる場合があります。
近年はパソコンやスマホの普及により、ストレートネックや巻き肩の方が増えています。そのため、首や肩に不調を訴えている方が多く、合わない枕を利用していると症状が悪化してしまう危険があります。また、眠りが浅くなる、イビキをかく、顔のシワやむくみにつながる可能性もあります。
枕は素材、硬さ、高さなど、非常に多くの種類があります。低反発、高反発、羽毛、ポリエステル、パイプ、ひのき、そば殻などがあります。最近人気になっている低反発や高反発、ポリエステルは手入れが簡単で適度な弾力もある分、通気性があまりよくないという面があります。ひのき、羽毛、そば殻などは通気性などには優れますが、手入れやメンテナンスがやや手間となってしまいます。どれも一長一短があり、すべてを網羅する枕はなかなかありません。ご自分のお好みに一番近いものを選ぶようにしましょう。
硬さについても様々です。硬すぎては安眠できませんし、やわらかすぎても沈み込んでしまって寝返りがうまくうてなくなってしまいます。寝返りをサポートできるような柔軟性と適度な硬さがあるものがオススメです。
高さなども体型などによってどれくらいがいいかは異なります。一般的に、立った姿勢のままで眠る高さが最も良いとされています。自然な状態をキープできる高さが理想です。一般的には男性は4cm、女性は3cm程度が理想と言われています。ただし体型や首の長さによっても異なります。
実際に枕を試す事ができるのでしたら、壁に背を向けてたち、壁と頭部の間に枕を挟んでみて不自然ではないかを確認してみましょう。横になっている状態よりも立っている状態で確認した方が、ご自分に合っているかわかりやすいようです。最近は枕の中身の量などによって高さを調整できるものも増えています。高さがはっきりわからない場合は、このような枕を購入してみるのもいいでしょう。
体型も年齢などによって変化するため、どんなに合っていると思っても一生同じ枕を使えるというわけではありません。また、枕は毎日5~9時間程度は利用するものですので劣化は免れません。枕の平均的な寿命は2年ほどとされています。2年に一度ほど、枕が合っているか、買い替えなくても大丈夫かを確認するようにしましょう。
衛生面も大切
特に敷布団やマットレス、枕などは人間の皮脂や汗を吸収します。冬でも一晩でコップ1~2杯分の汗をかくと言われているため、ダニなどが発生しやすくなってしまいます。できるだけこまめに洗濯したり干すのを心がけ、難しい場合は布団乾燥機などを活用しましょう。
ダニはアレルギーの原因になってしまいますし、知らずのうちにかゆくて熟睡できないという事になっている可能性もあります。清潔な寝具にするだけで安眠できる場合もありますので、できるだけ衛生面にも心がけるようにしましょう。
安眠できるパジャマ(寝巻き)
眠る際には、何を着て眠るかも大切です。最近はスウェットやジャージ、部屋着などで眠る方も増えているようです。ですが、眠る上では睡眠の質が下がってしまう可能性があるため、オススメできません。
パジャマも多くの種類があり、お好みにもよりますが、まずは体を締め付けないゆっくりしたものを選びましょう。また、できれば綿100%など天然素材のものがオススメです。なぜなら眠っている間に汗をかきますので、蒸れたり、寝汗で冷えて眠りが浅くなってしまう可能性があるからです。
また、最近はフードなどのついた可愛いルームウェアもありますが、寝返りの邪魔になってしまいますので、よけいな装飾がついたものは避けましょう。
なお、寒いからといって重ね着をするのは逆効果になる場合があります。眠っている間に暑くなりすぎてしまい、汗をかいてその汗が蒸発し、体がよけいに冷えてしまう危険があります。パジャマはできるだけ重ね着はしないようにしましょう。
パジャマに着替えてから眠るとそれを脳が記憶し、「これから眠る」という切り替えのスイッチにもなってくれます。そうする事で副交感神経を優位にし、より質のよい睡眠が得られる事が期待できます。
快眠に適した光

起床と就寝には、光も大きくかかわります。一般的に太陽の光を浴びると目が覚め、暗くなると眠くなるとされています。ですので、この働きをうまく利用し、起床時には太陽やそれに近い光を浴び、お昼以降はそれらの光を避けるようにする事で体内時計が整い、夜になると眠くなり、朝になると目が覚めるようになります。
起床からお昼頃まで浴びた方がいい光
人間の体は、太陽の光を浴びると覚醒するようになっています。体内時計をリセットする効果があるため、できれば朝は太陽の光を浴びながら自然に目覚めるのが理想です。ですが、起きる時間は人それぞれですし、日の出の時間も季節によって大きく異なります。防犯上、カーテンを開けたくない方もいらっしゃるでしょう。
そのような場合は、起床したらすぐにカーテンを浴びて、朝の光を取り入れましょう。できるだけ早めに太陽の光を浴びる事も大切です。近年普及してきたLEDや蛍光灯など、青白い光は覚醒作用があるとされています。コンビニやパソコン、スマホ、ゲーム、テレビなどから発せられるブルーライトもこれらの光に近いと言われています。ですので朝なかなか目が覚めにくい場合は、意識的に太陽などの光を浴びるようにしましょう。
お昼頃から就寝前までオススメの光
逆に、夕方以降(できればお昼以降)になったら、質の良い睡眠を得るために上記の光はできるだけ避けるようにしましょう。眠る前にスマホやパソコンなどを見るのが日課になっている方もいらっしゃるかもしれませんが、就寝の2時間前、最低でも1時間前は控えましょう。
眠る前はできるだけリラックスできる電球、白熱灯など、赤みがかった照明にするのがオススメです。ろうそくの炎などはゆらぎを眺めているだけでリラックス効果が期待できます。アロマキャンドルを利用すれば香りの効果もあり、さらに質の良い睡眠が得られる事が期待できます。インテリアで人気の間接照明などもリラックス効果があります。
なお、眠る際は、明るすぎると眠りの質が落ちてしまいます。明るい方が眠りやすいか暗い方が眠りやすいかは個人差がありますが、日中と同じ明るさで眠るのはやめましょう。日中に眠らなくてはならない生活をしている方の場合は、遮光カーテンなどを利用し、外からの光を遮りましょう。真っ暗では眠れない方は、足元など、できるだけ視界に入らない場所に小さなライトなどを置きましょう。
快眠に適した音
騒がしい環境で眠れる方はなかなかいらっしゃらないでしょう。ですが、睡眠環境の中で最も調整が難しいのが音でもあります。なぜなら、同居しているご家族、外の車の音など、ご自分ではどうにもならない場合が多いためです。
外からの音が気になる場合は、カーテンを2重にしたり、可能であれば防音設備を設置してしまうのもいいでしょう。それでもどうにもならない場合は睡眠用の耳栓を利用するのもひとつの方法です。それ以外に、加湿器やエアコンなどの音も意外に気になる場合もあります。定期的なメンテナンスを心がけましょう。
なお、眠っている最中に音楽を流すのは推奨されていませんが、眠る前にヒーリングミュージックや睡眠用の音楽を聴いてリラックスするのはオススメです。様々な音楽がありますので、ご自分が落ち着けるものを探してみましょう。
快眠に適した温度・湿度

睡眠には、温度、湿度は非常に大切です。室温だけでなく、寝具の中の温度、湿度も大切になります。また、季節によっても異なります。高すぎても低すぎても眠りにくくなってしまいますので、できるだけ適度なものに保つようにしましょう。温度計、湿度計は多くのものが販売されていますので、できるだけ気に留めるようにするのがオススメです。
温度は冬は18度、夏は25度前後が適当とされています。湿度は季節問わず50~60%程度が最適とされています。夏は湿度が高くなり、冬は乾燥しますので、乾燥や湿度が高いと感じる場合は、除湿機や加湿器などを上手に活用しましょう。
寝具の中の温度や湿度の事を「寝床内気候」と呼びます。温度は33度、湿度は50%程度が理想とされています。寝具の中の温度や湿度を正確に測るのはなかなか難しいかもしれませんが、夏は蒸れ過ぎないように、冬は暑くなりすぎないように注意しましょう。
快眠に適した香り
快適な眠りを得るために、香りを利用してリラックスできる睡眠環境にする方法も有効です。香りは好みがありますので一概には言えませんが、ラベンダー、カモミール、イランイラン、オレンジスイート、サンダルウッド、ベルガモット、フランキンセンス、ゼラニウム、ネロリなどが人気になっています。
特にアロマテラピーは有名で、アロマディフューザーなどを利用するのが一般的ですが、もっと手軽に利用したい場合は、ティッシュやハンカチなどのにアロマオイルを1、2滴垂らして枕元に置いて置く方法もオススメです。
良い睡眠のためにはまずは環境の改善を(まとめ)

質の良い睡眠を得るためには、睡眠環境も非常に大切になります。枕ひとつ変えるだけでぐっすり眠れるようになったという方も多くいらっしゃいます。いずれにしても、ご自分で心地いいと思うものを選ぶ事が大切です。
それだけで改善が難しいようでしたら、睡眠薬(睡眠導入剤)を利用するのもひとつの方法です。最近の睡眠薬は安全性が非常に高く、即効性があるため20分程度で眠りにつく事ができます。睡眠薬の多くは抗不安作用があるものが多いため、心配ごとや悩みがあって眠れない方もリラックスして眠りに就く事ができます。ルネスタ、ハイプロン(ソナタジェネリック)などが人気になっていますが、現在は病院行かずに通販を利用すれば簡単に購入する事が可能です。
放置していると不眠症はどんどん悪化してしまい、うつ病などに発展してしまう危険もあります。少しでも気になる症状があれば、睡眠薬などを上手に利用して、早めに改善しましょう。